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がんを死滅させる免疫サイクル③ 【複合的がん免疫療法】

免疫サイクル

いつもLSI札幌クリニックHPのご利用を頂きありがとうございます。
今回は、「免疫逃避」の続きです。

第一回、第二回は下記をご覧ください。

(第一回)がんを死滅させる免疫サイクル
(第二回)免疫逃避

様々な免疫療法

(第一回)がんを死滅させる免疫サイクル―で説明した通り、この免疫サイクルを正常に回すために、様々ながん免疫療法があります。
今回はそちらを説明したいと思います。

樹状細胞ワクチンで樹状細胞を教育

まずは、がん攻撃の「司令塔」細胞を教育する治療法、樹状細胞ワクチンを説明します。

樹状細胞
(第一回)がんを死滅させる免疫サイクル
(第二回)免疫逃避
でお伝えしたとおり「司令塔」的な役割を担う免疫細胞です。

樹状細胞ワクチンは、その樹状細胞を体外でがんの目印である、がん抗原を取り込ませてから(教育してから)体内へ戻し、T細胞にがんを攻撃するよう指示させる治療法です。

アルファ・ベータT細胞療法でT細胞の活性化・増殖

次はがん攻撃の「攻撃部隊」細胞を増殖・強化する治療法、アルファ・ベータT細胞療法を説明します。

がんに対する攻撃力が最も強い細胞のひとつであるT細胞を全般的に活性化し、約1000倍に増殖させてから体内へ戻す治療法です。

T細胞の多くが、アルファ・ベータT細胞という種類なので、この名前がついています。

免疫チェックポイント阻害剤

免疫チェックポイント阻害剤は京都大学の本庶 佑 先生が2018年のノーベル医学生理学賞したことで話題となりましたね。本庶先生はT細胞表面に「PD-1」という分子を発見し、そのPD-1が、がん細胞の特定の分子と結びつくことで免疫にブレーキをかけることを解明しました。

この研究をもとに新しいがん治療薬「免疫チェックポイント阻害剤」が開発されました。

この免疫チェックポイント阻害剤は、がん細胞が免疫細胞の働きを抑制する働きを解除することを狙った治療法です。(ブレーキを解除する治療

アルファ・ベータT細胞療法で制御性T細胞を正常化

(第二回)免疫逃避「制御性T細胞の活性化による免疫逃避」でもお伝えした通り。免疫が過剰に働きすぎるのを制御する「制御性T細胞(Treg)」と呼ばれる免疫細胞があります。

がん細胞は、その制御性T細胞(Treg)を活性化させて、免疫逃避をすることがあります。

がん患者さんにおいては、がん細胞を攻撃する働きを担うT細胞が健常人に比較して異常に減少している一方、がん細胞への攻撃を抑制する制御性T細胞(Treg)は減少せず、逆に増加している場合があることがわかりました。

そのがん患者さんに対し、アルファ・ベータT細胞療法を実施することで、この制御性T細胞が減少し、免疫のバランスや機能が回復することが報告されました。

Noguchi A. et al., IntImmunopharmacol(2014)一部改変

複合的がん免疫療法で免疫サイクルを回す

今は、色々な免疫療法が存在します。

ただ、ここでがん治療に重要なポイントは、一つのブレーキを解除する、そして一つのアクセルを踏むことだけではなく、免疫サイクル全体を考える事です。一つの免疫逃避を解決しても、その他に免疫逃避がある場合には、がんを退治できません。

以前掲載いたしました。「もう治療がない」から寛解した症例〔腎臓がん②症例紹介の要約〕から寛解した症例などでも示されている通り、がん治療にはサイクル全体を見据えた様々なアプローチが必要です。

この免疫サイクルをうまく回すための概念は「複合的がん免疫療法」と呼ばれ、がん治療の戦略において近年注目されています。

免疫チェックポイント阻害剤では効果が出ず、その後T細胞を増やし、制御性T細胞を下げる治療であるαβT細胞と組み合わせした事により寛解した症例報告)
https://www.lsi-sapporo.jp/topics/5996/

(第一回)がんを死滅させる免疫サイクル
(第二回)免疫逃避
(第三回)複合的がん免疫療法

 






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がんの再発予防での活用→

 


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