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今回は、「(第一回)がんを死滅させる免疫サイクル①」の続きです。
がんの免疫逃避とは
皆様、「免疫逃避」という言葉をご存知でしょうか?
「免疫逃避」は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン株がワクチンから逃れる時にも使われるので、言葉をご存知の方もいらっしゃると思います。
では、がんの場合、免疫逃避がどの部分でおきているか?イラストを使用して説明いたします。
がん抗原の消失・発現低下
がん細胞は、その細胞の表面に目印(がん抗原)がでています。T細胞は、この目印を見つけると、がん細胞を攻撃します。
がん細胞はこの免疫の性質を利用し、目印を隠して身を潜め、T細胞による攻撃から逃れる事があります。
樹状細胞の働き低下
「樹状細胞」は、がんの目印(抗原)をT細胞に伝えて攻撃の指示を与える「司令塔」的な役割を担う細胞です。
樹状細胞からがん細胞の目印を伝えられたT細胞は、体内でがん細胞を狙い撃ちにして効率よく攻撃できるようになります。
しかし、この樹状細胞の働きが低下すると、T細胞は効率よくがん細胞を攻撃することが出来なくなるため、免疫逃避の原因の一つになると考えられています。
T細胞の活性化・細胞数低下
「T細胞」はがん細胞を直接攻撃する兵隊となる免疫細胞です。
樹状細胞の司令によりがん細胞を狙い撃ちします。また、がん細胞を破壊するための中心的な役割を担っています。
そのがん細胞への攻撃の要になる、T細胞の活性化が低下したり、細胞数自体が減った場合には、免疫逃避の原因の一つになると考えられています。
免疫チェックポイント機構による免疫逃避
免疫細胞には、正常な細胞を攻撃させないためのブレーキとなる免疫抑制の仕組み、免疫チェックポイント分子が備わっています。
がん細胞はこの仕組みを利用して、免疫チェックポイント分子に「がんを攻撃するな」という司令を出す時があります。
そうなるとT細胞にブレーキがかかり、がん細胞を攻撃しなくなってします。このブレーキのかかる仕組みを免疫チェックポイント機構といいます。
制御性T細胞の活性化による免疫逃避
T細胞の中には、自己免疫疾患、炎症性疾患、アレルギー疾患など免疫が過剰に働きすぎるのを制御する「制御性T細胞(Treg)」と呼ばれる免疫細胞があります。
がん細胞は、その制御性T細胞(Treg)を活性化させて、免疫逃避をすることがあります。
以下の論文でも、がん患者さんの体内では、がんを攻撃するT細胞が減少している一方、免疫の攻撃を抑える制御性T細胞は、逆に増加しているケースが見られることが分かっています。
Noguchi A. et al., Int Immunopharmacol.18(1).90-7(2014)
免疫逃避(詳細)
次回はこの巧みな免疫逃避の対策となるがん治療を説明します。
―(第三回)複合的がん免疫療法―
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