お知らせ

乳がんの症例報告①

 

アルファ・ベータT細胞療法とWT1ペプチベータによる樹状細胞ワクチンが有効であった乳がんの全身転移の一例
※ LSI札幌クリニックは、瀬田クリニックグループの(特定連携医療機関)として医療連携を行っております。

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1.治療までの経緯

2013年、左乳房の出来物に気付いたものの放置していたところ、翌年5月になって腰の痛みと呼吸の苦しさを感じるようになりました。すぐに病院で検査すると、左乳がん、多発性骨転移(ステージ4)、リンパ節転移および両肺癌性リンパ管症と診断されました。治療をしなければ余命3カ月と告げられました。

主治医からは化学療法とホルモン療法を提示されましたが、副作用を気にされ拒否。症状緩和のためのステロイド剤や鎮痛剤(オピオイド)を服用されていました。その後、ご自身で免疫細胞療法のことを調べられ、2014年6月に当院に来院されました。

2.治療内容と経過

来院後、ご自身に最も適した治療戦略を立てるために、自身の免疫細胞の状態を調べる免疫機能検査(FCM検査)や、がん細胞のタイプを調べる免疫組織化学染色検査を実施。

検査結果を踏まえ、まずはアルファ・ベータT細胞療法より開始し、その後、MUC1、HER2およびWT1ペプチベータを用いた樹状細胞ワクチンを受けられました。治療開始後、2カ月後には呼吸困難も徐々に緩和し8カ月後には在宅での酸素吸入も必要なくなりました。

疼痛も軽くなり、ステロイド剤や鎮痛剤の服用もやめ、治療開始から1年経過時のPET/CTでは、治療前に比べがん細胞の著しい減少が認められました。現在(2016年1月)では旅行などを楽しみながら、治療を継続されています。

3.考察

広範囲に転移した乳がん細胞が大幅に減少した例です。この患者さんは免疫機能検査の結果、免疫の状態が良好であり、もともと免疫細胞療法の効果が発揮しやすい状況でしたが、ステージ4期の乳がんがここまで回復したことは特筆すべき著効例の一つです。

瀬田クリニックグループの症例報告を元に作成(https://www.j-immunother.com/case/

4.症例報告のエビデンスレベル

※エビデンスとは

エビデンス(evidence)は日本語で「証拠」「根拠」という意味を指します。
医療の分野では症例に対して科学的に示した成果のことで、科学的根拠や裏付けとして使われます。

国立がんセンター情報サービスの記載を元に作成(http://ganjoho.jp/med_pro/med_info/guideline/guideline.html

※がん免疫細胞療法について
がん免疫細胞療法とは、身体のなかでがん細胞などの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。この治療は患者さんがもともと体内に有している免疫細胞を培養・加工してがんを攻撃する点から、他の治療のような大きな副作用はなく、また抗がん剤や手術、放射線治療など他の治療と組み合わせて行うこともできます。治療の種類にもよりますが基本的には2週間おきに採血と点滴を繰り返す治療となります。当院では、治療に用いる細胞の違いや培養方法の違いにより、樹状細胞ワクチン、アルファ・ベータT細胞療法、ガンマ・デルタT細胞療法、NK細胞療法の四つの治療法を提供しています。


※リスク・副作用について:治療後、ごく稀に「軽い発熱、発疹等、倦怠感」が見られる事がありますが、それ以外、重篤な副作用は見られたことはありません。身体への負担が最小限の治療と考えています。

※治療費について:治療法にもよりますが、1種類の治療を1クール(6回)実施の場合、1,639,200円(税込1,803,120円)~2,239,200円(税込2,463,120円)が目安となります(検査費用は除く)。治療費の詳細はこちら