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当院の方に多数の「免疫についての質問」をいただいておりますので、今回は以前紹介いたしました「免疫の力」についてQ&A方式で説明したいと思います。
がん治療に重要な免疫の役割については「がんを死滅させる免疫サイクル①」をご覧ください
Q1.免疫の力は低下しますか?
A2.免疫は年齢と共に低下すると言われています。
免疫の状態は「20代前後をピークに、30代から下降線を辿り、50代ではそのピーク時の半分」になると言われています。(ここには個人差があります)このグラフが示す通り、「感染症やがん」も免疫状態のグラフと反比例して向上してきます。
上野川 修一.からだと免疫のしくみ.日本実業出版社.Goldstein A.L.,et al.,”Physiology and Cell Biology of Aging.”Raven Press(1979)より
Q2.免疫の力を高めるにはどうすればいいですか?
A2.免疫の力は「免疫系のバランス」が良いと強くなります。
免疫細胞が「多すぎ、少なすぎ」よりもバランスが大事です。
免疫には「制御性T細胞」の様に多い方が困る免疫も存在します。
免疫状態を良くするためには一方の免疫細胞を向上させるのではなく、バランスが大切です。
Noguchi A. et al., IntImmunopharmacol(2014)一部改変
Q3.(がん免疫細胞療法は)何種類もやったほうが免疫状態は良くなりますか?
A3.免疫の力を高めるにはその人に適した治療を選択する事が大切です。
治療を選択する前に、まず「がん細胞」と「免疫細胞」の状態を事前の検査で調べ、患者さん一人ひとりに最も有効と考えられる治療を選択するのがベストな方法です。
Q4.(がん免疫細胞療法の)アルファ・ベータT細胞療法(αβT)とはどんな治療ですか?
A4.5種類の免疫細胞が含まれる治療です。がんに対する攻撃力がもっとも強い細胞の「T細胞をより多く活性化・増殖」させます。
アルファ・ベータT細胞療法に含まれる「5種類の免疫細胞」 | |
キラーT細胞【αβT細胞】 | 樹状細胞やマクロファージから排除すべき細胞の抗原を教えてもらって、活性化、増殖を始める。ヘルパーT細胞の指令を待って、その抗原を表面に出している細胞に攻撃を加える。 |
ヘルパーT細胞【αβT細胞】 |
樹状細胞やマクロファージから排除すべき細胞の抗原を教えてもらい、その抗原のある細胞を攻撃対象とするキラーT細胞に攻撃開始の指令を出す。 |
ガンマ・デルタT細胞 | アルファ・ベータT細胞が認識する「抗原」に依存することなく感染症やがんから体を守る、T細胞の少数集団。 |
NK細胞(ナチュラルキラー細胞) | 細胞のHLA型を判別し、自らと異なるものの場合、攻撃を加える。ADCC(抗体依存性細胞傷害)活性で、抗体が結合した異常細胞に攻撃を加える。 |
NKT細胞 | NK細胞とT細胞の性質を併せ持ち、排除すべき細胞に対して直接または間接に攻撃を加える。 |
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