坂口志文 先生が「制御性T細胞(Treg)」の発見とその仕組みの解明でノーベル生理学・医学賞を受賞されましたね。
日本人研究者の快挙は日本の医学界にとっても非常に喜ばしいニュースです。おめでとうございます。
また、このTregの発見は、免疫学の理解を大きく前進させ、がんや自己免疫疾患などの治療研究にも大きな影響を与えました。
今回は、この注目の「制御性T細胞(Treg)」について、わかりやすく解説したいと思います。
1.免疫の「調整役」Tregとは?
免疫細胞の中には、体を守るだけでなく、免疫の暴走を抑える役割を持つものがあります。それが「Treg(制御性T細胞)」です。
免疫は強すぎても弱すぎても体に悪影響が出ます。Tregはこのバランスを整え、自分の体の細胞を攻撃してしまう「自己免疫」を防ぐ重要な役割を担っています。
Tregがうまく働かないと、関節リウマチや1型糖尿病などの自己免疫疾患が起きやすくなります。
また、Tregはがんなどの病気においても注目されており、免疫のバランスを理解するうえで欠かせない存在です。
2.免疫を抑えるTregの割合を減らす「アルファ・ベータT細胞療法」
研究によると、がん患者さんでは、がんを攻撃するT細胞が健康な人に比べて少なく、一方でTregは減らず、場合によっては増えていることがあります。
当院で行っているアルファ・ベータT細胞療法は、活性化・増殖させたT細胞でがんを攻撃するとともに、Tregを抑えて免疫抑制を解除する二重効果を持つ治療です。
この治療により、がん細胞への免疫反応が働きやすい環境を整えることが可能です。
移入される細胞は、がんを攻撃するキラーT細胞やヘルパーT細胞で、Tregはほとんど含まれません。
(瀬田クリニック公式サイト:https://www.j-immunother.com/therapy/kind/abt)
参考文献:
1.Noguchi A, Kamigaki T, Goto S, et al. Int Immunopharmacol. 2014;18(1):90–97.
2.Miura M, Goto S, Kamigaki T, Takimoto R, et al. Cancer Med. 2020;9(14):4907–4917.
3.Kamigaki T, Goto S, et al. Anticancer Res. 2015;35(8):4535–4543.
4.Okazawa Y, Kamigaki T, Goto S, Takimoto R, et al. Oncol Lett. 2024;27(3):101.
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