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がんに対する認識の変化

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がんに対する認識の変化

わたしが大学を卒業し病院勤務をはじめた頃は、まだ患者本人にがんという病名を知らせないまま治療を行っていることがよくありました。今から35年ほど前のことです。胃がんを胃潰瘍といって手術を行う。食道の良性腫瘍といって放射線療法を行う。肺感染症として抗がん剤を投与する、ということが普通に行われていました。

今では考えられませんが、当時は家族の希望が主な理由でした。がんは不治の病であり、本当の病名を告知したら、本人がショックを受けるので、どうか言わないで欲しいという配慮からです。また、今住んでいるところは小さな町なので、がんで亡くなるというのは恥ずかしいことなのです、とも言われたこともありました。わたしには訳がわかりませんでした。

山崎豊子原作の小説『白い巨塔』がテレビ化されましたが、田宮二郎が演じる外科教授の財前五郎が本当は胃がん末期であるにも関わらず、胃潰瘍として手術され、結局手の施しようがなくそのまま閉腹。無事手術成功とは告げられたものの、本人はある時鏡の中に映る自分の顔が黄疸になっているのに気づき、初めて真実を知るというシーンがあったことが思い出されます。

当時のがんの治療は、必ずしも本人の意志が優先されることはなかったのです。しかし、アメリカでは当然のごとく本当の病名を告知し、治療の選択権も患者本人に委ねられました。日米のこの差は宗教観の違いにあるのだろうと言われていましたが、日本でもそれから10年もすると、普通に本人には本当の病名を告げるようになりました。

こんな話しを聞いたことがあります。わたしは決して取り乱すようなみっともない事はしないから、本当の病名を教えてくれと頼んだ高僧が居たそうです。その悟りを開いたはずの高僧に、あなたの病名はがんだと告げた途端、死にたくないと泣き喚いたとのことです。

「あなたはがんです」といわれて、ショックを受けない人はいないでしょう。ましてや、治癒の見込みのない進行がんでは、そのショックははかりきれません。
今の医療は診断して、医師の提案する治療を受け入れれば行うが、受け入れなければ他へどうぞという、医師側に選択権のある医療がなされているような気がしてなりません。
もっと患者側に多くの選択権を示し、寄り添った医療を進めていくことが、これからは求められる時代になっているとわたしは感じています。

 


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