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腸活は免疫の力を上げるのか?―論文から見る腸と免疫の関係


腸活をすると免疫力が上がる」この言葉、よく聞きますよね。

では実際に、現時点でこの言葉はどこまで科学的に分かっていることなのでしょうか。

今回は、論文をもとに医療ブログを書いてみました。


「免疫の7割は腸にある」とも言われる腸の重要性

腸は体の免疫を担う中心的な場所で、「免疫の7割は腸にある」とも言われるほど重要な臓器です。

実際に、腸は外界からの刺激(食事や細菌など)に常にさらされるため、
免疫機能が強く発達した臓器であり、全身の免疫に大きく関与することが報告されています¹²。


そもそも免疫とは何か 

腸と免疫の関係を理解するうえで、まず基本を整理すると。

免疫とは、体の中に入ってきたウイルスや細菌、
そして異常な細胞(がんの芽など)を見つけて排除しようとする仕組みです。

いわば「体の防御システム」であり、
常に体の中をパトロールしているような役割を持っています。

免疫は体内を常に巡回しながら、
異常な細胞や外敵を早期に見つける働きをしています。

この仕組みによって、
私たちの体は日々生まれるがん細胞などの異物、外から来るウイルス、細菌などから守られています。

この考え方は「免疫監視(immunosurveillance)」として知られています³。


がんと免疫と腸内細菌の関連研究

がん免疫治療(免疫チェックポイント阻害薬)の分野では、
腸内細菌の構成が治療効果に関連する可能性が以下の論文で報告されています。

Gut microbiome influences efficacy of PD-1 blockade in epithelial tumors
腸内細菌叢が上皮性腫瘍におけるPD-1阻害療法の効果に影響する
Science. 2018.

Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration
樹状細胞の移動によって媒介される腸内細菌由来の抗腫瘍免疫
Nature. 2025.

これらの論文では、「腸内環境の違いが、治療の効き方に影響する可能性」が報告されています。

このように、免疫チェックポイント阻害薬の分野においても、腸内環境と免疫機能、そして治療効果との関連が検証されています。


腸活は免疫に良いのか?

以上のことから、
腸活によって免疫が確実に向上するとまでは言えません。
その影響は個人差や背景因子によって異なります。

一方で、食事内容や生活習慣が腸内細菌に影響することは明らかであり、
その結果として免疫環境に間接的な影響を与える可能性はあると考えられています¹²。

そのため、無理のない範囲で、腸活を生活に取り入れてみるのは一つの方法かもしれません。


免疫状態を客観的に評価する一つの方法

当院の免疫外来では、フローサイトメトリー(FCM)検査を用いて免疫状態を評価しています。
腸活の前後で検査を行うことで、免疫への影響を客観的に確認することもできます。


<体の防御システム免疫機能を調べる>免疫外来について



参考文献

1. Mowat AM, Agace WW.
Regional specialization within the intestinal immune system.
Nat Rev Immunol. 2014.

2. Hooper LV, Littman DR, Macpherson AJ.
Interactions between the microbiota and the immune system.
Science. 2012.

3. Schreiber RD, Old LJ, Smyth MJ.
Cancer immunoediting: integrating immunity’s roles in cancer suppression and promotion.
Science. 2011.

4. Routy B, et al.
Gut microbiome influences efficacy of PD-1 blockade in epithelial tumors.
Science. 2018.

5. Microbiota-driven antitumour immunity mediated by dendritic cell migration.
Nature. 2025.

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【がん免疫細胞治療とは】
がん免疫細胞治療とは、身体のなかでがん細胞などの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。
【リスク・副作用について】
免疫細胞治療は患者さん自身の免疫細胞を治療に用いるので、軽い発熱、発疹等が見られる場合がありますが、それ以外は重篤な副作用は見られず、身体への負担がほとんどありません。
【費用について】
治療にかかる費用は、1クール(6回投与)実施の場合、治療法にもよりますが、およそ1,800,000円(税込1,980,000円)~3,943,700円(税込4,338,070円)が目安となります(検査費用は除く)
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