今こそ知っておきたい「乳がん」のこと。~ 早期発見で未来を守るためにできること ~
日本人女性の「8~9人に1人」がかかると言われている乳がん。
女性がかかるがんの中で最も多く、年間で約10万人以上が新しく乳がんと診断されています。
「自分はまだ大丈夫」「特別な症状はないから」と思っていませんか?
乳がんは早期に発見できれば、良好な結果が期待できるとされています。
今回は、知っておきたい乳がんのサインやリスク、自分を守るための習慣について分かりやすく解説します。
1.早期発見が命を守る!乳がんの「生存率」
乳がんは早期発見・早期治療を行えば、良好な経過が期待できる病気です。
がんが乳房の中だけにとどまっている段階で発見された場合、5年生存率は「98.1%」と非常に高い数値となっています。
しかし、進行して体のほかの場所へ広がってしまうと、生存率は大きく低下してしまいます。
だからこそ、「いかに早く見つけるか」が何よりも大切なのです。
2.しこりだけじゃない!見逃したくない乳がんのサイン
「乳がん=しこり」というイメージが強いかもしれませんが、サインはそれだけではありません。
以下のような変化を感じたことはありませんか?
・しこり:硬く動きにくい、米粒〜梅干し大のもの
・皮膚の変化:えくぼのような凹み、オレンジの皮のような凹凸
・乳頭の変化:凹み(陥没)、向きの変化、ただれや分泌物(血が混じるなど)
・脇の下や鎖骨周りの腫れ:リンパ節の腫れやコリ感
少しでも気になる変化や違和感があれば、「きっと大丈夫」と自己判断せず、早めに乳腺外科などの医療機関を受診しましょう。
3.あなたのリスクは?チェックリストで確認してみよう
乳がんの発症には、年齢や体質、生活習慣などが関わっています。以下の項目に当てはまるものがないか、チェックしてみましょう。
□ 40歳を過ぎた
□ 血縁者に乳がん・卵巣がんの経験者がいる
□ 出産経験がない、または初産年齢が高い
□ 初経が早かった、または閉経が遅かった
□ お酒をよく飲む、運動不足、(特に閉経後の)肥満傾向がある
□ 2年以上乳がん検診を受けていない
チェックが多い方ほど、意識して定期的な検診や自己チェックを行うことが推奨されます。
4.今日から始められる「2つの習慣」
乳がんのリスクを減らし、早期に気づくために日常でできることがあります。
① 月1回の「セルフチェック(ブレスト・アウェアネス)」
自分の乳房の状態を日頃から知っておく習慣をつけましょう。
・見る:鏡の前で引きつれやくぼみ、左右差がないか確認
・触る:指の腹でやさしく触れ、しこりや硬い部分がないか確認
・確認する:乳頭から血の混じった分泌物が出ないか確認
② 健康的な生活習慣
日常の些細な心がけがリスク軽減につながります。
・バランスの良い食事:野菜・大豆製品を意識して摂取
・適度な運動:歩く時間を増やすなど日常でこまめに体を動かす
・体重管理とお酒:適正体重の維持とお酒の控えめな摂取
5.自分に合った「検診」の選び方
定期的な検診は早期発見の要です。検査方法にはそれぞれ得意・不得意があります。
・マンモグラフィ:微小な石灰化(がんの初期サイン)を見つけるのが得意。
・乳腺エコー(超音波):痛みや被ばくがなく、乳腺が発達している「デンスブレスト(高濃度乳房)」の方でも病変を見つけやすい。
・乳房MRI:感度が高く、小さな病変や広がりの確認に優れています。
日本人女性の約半数にみられる「デンスブレスト(高濃度乳房)」の場合、一般的なマンモグラフィ検査では乳腺も病変も同じように「白く」映ってしまい、病変が見えにくく見落とされてしまう可能性が高くなります。
そのため、デンスブレストの方や精密な検査を希望される方には、高精度な「乳房MRI」と「乳腺エコー」を併用する検診が非常に有効とされています。
おわりに
乳がんは決して他人事ではなく、身近な病気です。
しかし、正しい知識を持ち、定期的なセルフチェックと検診を心がけることで、大切な命とこれからの生活を守ることにつながります。
「完璧にやろう」と構えすぎず、まずは月1回のセルフチェックや、年1回の検診予約から始めてみませんか?
出典
・厚生労働省「2018年全国がん登録 5年生存率報告」(2026年2月公表)
・国立がん研究センターがん情報サービス(2023年の統計、乳がん「予防・検診」)
・日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2023年版」
・J-START研究(日本の乳がん検診におけるエコー併用の研究)