脳卒中について
「三大疾病」という言葉をご存じでしょうか?
三大疾病とは「がん(悪性新生物)」・「心疾患」・「脳卒中」のことで、
日本人の死因としてこの三大疾病が1位から3位までを占めていました。
しかし、長寿国と言われる日本において、医療の発展もあり2018年を境に「老衰」が死因の第3位となり、当時まで第3位であった三大疾病の1つである「脳卒中」は第4位となったのです。
(2022年:厚生労働省の人口動態統計より)
ここまでの死因の上位に関してはご存じの方も多いのではないかと思います。
では、死因ではなく「要介護になってしまう原因」はいかがでしょうか?
厚生労働省によると要介護になった主な原因として、認知症(16.6%)に次いで第2位が「脳卒中(16.1%)」であるということが発表されています。 (2022年国民生活基礎調査の概況より)
脳卒中は死因の上位を占め、さらに要介護となる原因の上位も占めているのです。
つまり、治療により救命 することができたとしても、重篤な後遺症が残り“健康寿命※1”を短くしてしまう恐れがあるということを示しています。
※1:「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」
☑ 片足がしびれる ☑ 突然の激しい頭痛
☑ 手足に力が入らない ☑ 視野が半分かける
☑ まっすぐ歩けない ☑ ろれつが回らない
これらは脳卒中の兆候となる症状です。
一時的に症状が現れ、すぐに消えるため「疲れていたのかな」など特に気にすることなく見過ごしてしまう危険性があります。
このような症状が現れた場合は医療機関の受診をおすすめします。
脳卒中のリスク因子としてはこのようなものがあります。
生活習慣に関わる因子が多く、生活習慣に気を付けていれば予防に繋げることができると言えます。
脳卒中の予防につながる検査としては次のようなものがあります。
MRI検査では、脳実質そのものに異常がないか、脳の血管像、また脳につながる頚部の血管の形を確認することができ、
「血管が狭くなっていないか」「動脈瘤はないか」などを調べることができます。
自覚症状がなくても、MRIでは小さな脳梗塞なども発見が可能です。
実際の脳動脈瘤の画像が下図です。
赤丸で囲った部分の血管に下向きのコブ状の突起があるのがわかります。
このコブ状の突起が動脈瘤です。この血管が破裂すると「脳出血」となるのです。
破裂する前の段階で見つけることができれば治療により予防が可能となります。
動脈硬化を調べる検査の1つで首の血管の内部を確認することができます。
動脈硬化が進むと血管の壁が厚くなってくることが特徴の1つです。
さらに動脈硬化が進むと首の血管の壁の中にコレステロールなどの「プラーク」と呼ばれる塊ができ、血液が流れる部分が狭くなります。
そしてプラークが増大すると、やがてプラークの破片が血流にのって頭まで運ばれることにより脳の血管が詰まり脳梗塞の原因になることがあります。
定期的に血管壁を超音波検査で確認し、予防に努めることが効果的です。
こちらも動脈硬化を調べる検査で、血圧や脈波を測定することで動脈の詰まり具合の測定や
血管の硬さを調べることができ、動脈硬化症の早期発見として有効な検査です。
下図は当院で行っている血圧脈波検査(ABI検査)の結果です。
血管年齢として算出し、血管の硬さが一目でわかるようになっています。
本検査結果レポートの著作権、その他の知的財産権はオムロンヘルスケア株式会社に帰属します
脳卒中は予防できる疾患の1つです。
先述した通り、現在では死亡率もそこまで高くない疾患ですが発病すると麻痺や言語障害などの後遺症が残り“健康寿命”が短くなってしまうのが特徴です。
“健康寿命”を延ばすためにも早期発見・早期治療が非常に大切になってきます。
実際に厚生労働省からも早期発見のためには年に一度の健康診断が推奨されています。
脳卒中の予防には生活習慣の見直しや、検査を受けてご自身の「脳の状態」や「血管の状態」を知っておくことが重要になってきます。
また、10月29日には「世界脳卒中デー」と定められており、さっぽろテレビ塔を含めた全国50カ所以上でライトアップが行われています。
LSI札幌クリニックでは冬本番を迎えるこの時期に独自に啓発月間を設け、脳卒中の早期発見に尽力しています。
皆様の“健康寿命”を考えるきっかけにしていただければ幸いです。