LSI札幌クリニックNewsline

膵臓がんの危険因子について

 数あるがんの中でも早期発見が難しく、発送した場合の5年生存率は約9%と、生存率が極端に低いがんと言われている【膵臓がん】。
LSI札幌クリニックでは、可能な限り早期の膵臓がんを見つけるため、膵臓がん検診を行っていますが、
膵臓がんの発生に特に注意しなければならない人とは、どのような因子を持っている人でしょうか。
膵臓がんの誘発が認められている4つの危険因子についてお話しします。

①家族歴

血縁のある近親者に膵臓がんの患者がいる場合:
膵臓がんでは、KRAS、BRCA1/BRCA2、PALB2、CDKN2A(P16)、STK11(LKB1)といった遺伝子の変異が関与していると考えられています。
血縁のある近親者では、遺伝子の変異が受け継がれている可能性が高いと考えられます。家族に膵臓がん患者が一人いれば発生リスクは4.5倍になると言われています。

②既往歴

本人に大腸がん、乳がん、卵巣がんの既往がある場合、近親者に大腸がん、乳がん、卵巣がんの患者がいる場合:
上記遺伝子変異の中には、大腸がん、乳がん、卵巣がんなどにも共通するものがあります。
膵臓がん以外でも、家族に上記癌患者がいる場合や本人に上記癌の既往歴がある場合、膵臓がんのリスクも高くなると可能性があります。

③膵臓がんを合併するリスクの高い疾患

糖尿病(急な発症、治療中の急激な悪化)、慢性膵炎、遺伝生膵炎(家系に膵炎患者が多い)、
40歳以降の急性膵炎、膵管内乳頭粘液性腫瘍、膵嚢胞、肥満傾向な方:
糖尿病患者の膵臓がん発生リスクは約2倍(発症から1年未満は約5.4倍)、
慢性膵炎患者の膵臓がん発生リスクは約13倍、遺伝生膵炎患者の膵臓がん発生リスクは約53-87倍、膵管内乳頭粘液性腫瘍や膵嚢胞が有る場合の膵臓がん発生リスクは約2-10倍と言われています。
肥満の人は膵臓がん発生リスクは約1.2倍となりますが、若年生成人期の肥満は、膵臓がんのリスクがさらに高くなります。

④嗜好

喫煙、大量飲酒(ビール中瓶2本程度/日以上):
喫煙は膵臓がん発生リスクが1.7倍に、大量飲酒は膵臓がん発生リスクが1.2倍になると言われています。

最後に

 以上のような危険因子が有る場合には、少なくとも1年に1度は、膵臓がん検診などにより積極的に膵臓の状態をチェックすることをおすすめいたします。
MRIを利用したMRCP検査は、膵臓がんそのものも明確に診断できる他に、
通常のPET-CT検査では同定出来ない膵管内乳頭粘液性腫瘍や膵嚢胞などの膵臓がんを合併するリスクの高い疾患も鋭敏に捉える事が可能な優れた検査です。

 このようながん検診を通じて早期発見、早期治療の重要さ、予防医療の考えが広く伝播し
これからも皆さまの健康をサポートできることを願っております。