LSI札幌クリニックNewsline

免疫細胞療法と免疫チェックポイント阻害薬の違いとは?

当院には、よくこのようなご相談をいただきます。

オプジーボなどの
免疫チェックポイント阻害薬と免疫細胞療法は何が違うの?

他の免疫療法を受けているなら、免疫細胞療法は必要ない?

結論からお伝えすると、
免疫細胞療法と免疫チェックポイント阻害薬は、

どちらも「免疫療法」に分類されますが、役割が異なります。

では、どうちがうのか?
その答えを説明するために、がんと免疫系のお話しから説明します。


がんと闘う鍵は、「免疫の歯車」を正しく回すこと

免疫は、一つの仕組みだけでがんを攻撃しているわけではありません。
がんを見つけ、情報を伝え、攻撃するまでには、一連の流れがあります。
免疫の仕組みの歯車がかみ合うことで、初めてがん細胞への攻撃が届きます。

この一連の流れを「がん免疫サイクル」と呼びます。[1]


がん免疫サイクルに重要な「3つの歯車」

まず免疫サイクルに重要なのが、以下の3つの免疫の歯車です。[1]

①樹状細胞(がんを攻撃するT細胞に情報を伝える司令官)

②T細胞(がん細胞を直接攻撃する主役)

③免疫チェックポイント(免疫のブレーキ)

例えば、どれか一つの歯車にエラーがあれば、免疫サイクル全体はうまく回りません。
その結果、免疫はがん細胞を十分に攻撃できなくなります。

免疫でがんを攻撃するためには、「免疫サイクル」という歯車を正しく回すという考え方が重要です。[1]


それぞれの歯車を回すために、さまざまな免疫療法があります。

免疫サイクルを正しく回すためには、それぞれの歯車が十分に働く必要があります。

①樹状細胞→(治療)樹状細胞ワクチンなど

司令官である樹状細胞を再教育し、T細胞へ攻撃させやすくする治療です。[2]

②T細胞→(治療)T細胞療法(アルファ・ベータT)など

がん細胞を直接攻撃する主役のT細胞を活性化・増殖し、攻撃力を高める治療です。[4]

③免疫チェックポイント→(治療)免疫チェックポイント阻害剤など

がんが免疫にかけるブレーキを解除し、再びT細胞ががんを攻撃できる治療です。[1][3]

例えば、

樹状細胞やT細胞が十分に働いていても、
がんが免疫チェックポイント機構を利用してブレーキをかけると、T細胞は十分に攻撃できません。

一方で、
免疫チェックポイントのブレーキが解除されても、
樹状細胞から攻撃の指令が伝わらなかったり、
T細胞の数や働きが十分でなかったりすると、がん細胞を十分に攻撃することはできません。

つまり、

免疫療法は、免疫サイクル全体を考慮しながら、一つの治療や働きだけに焦点を当てるのではなく、
それぞれの歯車の役割を踏まえたアプローチが重要と考えています。


まとめ

免疫チェックポイント阻害剤免疫細胞療法どちらも
体のなかにある免疫を使用した『免疫療法』というカテゴリの治療ですが

根本的に役割が異なります。

免疫療法は数ではなく、免疫サイクルのどの歯車を支えるのかが重要です。

当院は
患者さん一人ひとりの免疫の状態に応じた治療をご提案できるよう、
さまざまな免疫療法をご用意しております。

【参考文献】

[1]Chen DS, Mellman I. Oncology Meets Immunology: The Cancer-Immunity Cycle. Immunity. 2013;39(1):1-10.

[2]Palucka K, Banchereau J. Dendritic-cell-based therapeutic cancer vaccines. Immunity. 2013;39(1):38-48.

[3]Pardoll DM. The blockade of immune checkpoints in cancer immunotherapy. Nat Rev Cancer. 2012;12(4):252-264.

[4]Takimoto R, Kamigaki T, Okada S, Ibe H, Oguma E, Ohno A, Goto S. Clinical Evaluation of Immune Cell Therapy in Esophageal Cancer Resistant to Immunochemotherapy. Anticancer Res. 2025;45(8):3553-3559.

【がん免疫細胞治療とは】
がん免疫細胞治療とは、身体のなかでがん細胞などの異物と闘ってくれる免疫細胞を患者さんの血液から取り出し、人工的に数を増やしたり、効率的にがんを攻撃するよう教育してから再び体内へ戻すことで、免疫の力でがんを攻撃する治療法です。
【リスク・副作用について】
免疫細胞治療は患者さん自身の免疫細胞を治療に用いるので、軽い発熱、発疹等が見られる場合がありますが、それ以外は重篤な副作用は見られず、身体への負担がほとんどありません。
【費用について】
治療にかかる費用は、1クール(6回投与)実施の場合、治療法にもよりますが、およそ1,800,000円(税込1,980,000円)~3,943,700円(税込4,338,070円)が目安となります(検査費用は除く)
※がん免疫細胞治療は自由診療(自費診療)です。健康保険は利用できません。