ヒートショックと血圧管理~北海道の冬に、人間ドックでできる備え~
11月に入り、朝晩の冷え込みがぐっと厳しくなってきました。この季節から増えてくるのが「ヒートショック」です。毎年この時期になると、入浴中の事故や、冬の脳卒中・心筋梗塞が話題になります。今回は、人間ドックを行う医療機関の立場から、ヒートショックと血圧管理のポイントをお伝えします。
ヒートショックとは:医学的な視点から
ヒートショックとは、日本医師会によると「急激な温度の変化で身体がダメージを受けること」とされています。
暖かい部屋から寒い脱衣所に移ると、血管が縮んで血圧が上がります。湯船で体が温まると、血管が広がって血圧が下がります。さらに、湯船から出て脱衣所で体が冷えると、再び血圧が上がります。こうした急な血圧の変動が、心臓や脳に大きな負担をかけます。
- 軽い場合:めまい、立ちくらみ
- 重い場合:失神、心臓発作、脳卒中。失神して浴槽で溺れる事故にもつながります。
厚生労働省の人口動態統計によると、2025年に浴槽で溺れて亡くなった方は全国で8,031人。そのうち7,631人が65歳以上で、全体の約95%を占めます。トイレでも、冷えた場所でいきむと血圧が急に上がります。
「北海道は家が暖かいから大丈夫」ではありません
北海道でも、暖かい居間と寒い脱衣所との間には温度差があります。次のような場所や場面に注意しましょう。
- 暖房が届きにくい脱衣所・トイレ・廊下・玄関
- 暖房を消した寝室から、夜中にトイレへ行くとき
- 帰省先や旅行先など、断熱が十分でない建物
人間ドックでわかること
高血圧や糖尿病などは、自覚症状がないまま経過することもあります。人間ドックでは、次のような検査で体の状態を確認できます。
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確認する項目 |
人間ドックで調べること |
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高血圧 |
血圧測定 |
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糖尿病 |
血液検査(血糖・HbA1cなど) |
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動脈硬化・血管の変化 |
血液検査(コレステロールなど)、頸動脈エコー、頭部MRA などの画像検査 |
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不整脈・心臓の病気 |
心電図 |
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肥満 |
身長・体重・BMI・腹囲 |
人間ドックが、冬の備えにつながる3つの理由
- 過去の健診結果と比べられる:血圧は年ごとの変化を見ることも大切です。人間ドックの血圧判定では、収縮期129mmHg以下かつ拡張期84mmHg以下がA判定の基準とされています(日本人間ドック・予防医療学会)。
- 症状のない動脈硬化や脳血管の変化を、画像で見つけられる:脳ドックでは、頭部MRIで症状のない脳梗塞、MRAで未破裂脳動脈瘤や脳血管の狭窄、頸動脈エコーで動脈硬化の状態を調べます。早めに見つかれば、生活習慣の見直しや、高血圧など脳卒中のリスクへの対策につなげられます。
- 「高め」の段階で気づける:数値が高めの段階で、減塩、体重の管理、節酒、禁煙といった生活習慣の見直しを始められます。
人間ドックは、病気のリスクを早めに知り、生活習慣の見直しや必要な受診につなげるための検査です。ただし、健診当日の値だけで高血圧と診断することはできません。血圧が高めと指摘された方は、次の「家庭血圧」で確認しましょう。
家庭血圧で、病院ではわからない血圧を知る
健診や人間ドックの血圧が正常でも、安心とはいえません。血圧には、次のようなタイプがあります。
- 仮面高血圧:診察室や健診では正常なのに、家庭など外では高い状態
- 早朝高血圧:起床後1時間以内に測った家庭血圧(5日以上の平均)が135/85mmHg以上の状態
- 白衣高血圧:診察室や健診では高いのに、家庭などでは基準未満の状態
こうした血圧は、1回の測定では見つかりにくいため、家庭血圧の記録が大切な手がかりになります。
高血圧の目安は、病院(診察室)で上が140以上または下が90以上、家庭で上が135以上または下が85以上です(単位はmmHg。高血圧管理・治療ガイドライン2025)。
- 朝:起床後1時間以内、トイレのあと、朝食前に測ります。薬を飲んでいる方は、服薬前に測ります。
- 夜:寝る前に測ります。
- 入浴・食事・飲酒の直後は避けます。
- 座って1〜2分安静にし、上腕にカフ(腕帯)を巻いて測ります。
今日からできる入浴・トイレの工夫
- 脱衣所と浴室を暖める:浴槽のふたを開けてお湯の蒸気で浴室を暖めたり、暖房器具で脱衣所を暖めたりします。
- お湯は41℃以下、つかるのは10分までを目安にします。
- かけ湯は手足から:心臓から遠い手足の先から、ゆっくり慣らします。
- 湯船から出るときは、ゆっくり立ち上がる
- 食後すぐは避ける:食後は血圧が下がりやすい時間帯です。
- 飲酒後の入浴は避ける:お酒が抜けてから入浴しましょう。
- トイレも寒さ対策:暖房便座やパネルヒーターを使い、冷えにくい素材のスリッパを選びます。
冬は血圧が上がりやすい季節です
寒さで血管が縮むため、冬は血圧が上がりやすくなります。1日のうちでは、朝は血圧が上がりやすい時間帯です。冬は脳卒中や心筋梗塞で亡くなる方が増えることから、この時期の血圧管理は特に大切です。
まとめ
- ヒートショックの原因は、急な温度差による血圧の大きな変動
- 北海道でも、脱衣所・トイレ・夜間の寝室など、寒い場所に注意
- 人間ドックで、高血圧・動脈硬化・不整脈などのリスクを早めに知る
- 入浴は41℃以下・10分まで。食後すぐと飲酒後は避ける
- 冬は家庭血圧を記録し、指摘や異変があれば早めに受診する
人間ドックのご予約・ご相談は、お気軽に当院へお問い合わせください。
LSI札幌クリニック
公式サイト:www.lsi-sapporo.jp
TEL:0120-151-866
参考・引用元
・全国健康保険協会(協会けんぽ)北海道支部 ヒートショックに関するコラム(発生の仕組み、予防のポイント、注意が必要な方)
・消費者庁「年末年始、高齢者の事故に注意しましょう!」(2025年、入浴時の注意点)
・厚生労働省「令和7年(2025年)人口動態統計(確定数)」上巻 第5.31表
・公益財団法人 心臓血管研究所付属病院 広報誌「心研Voice」vol.3(2022年11月、日本医師会の定義を引用)(ヒートショックの定義と症状、入浴時の注意点)
・LSI札幌クリニック「コース・料金」(脳ドックの検査項目)
・北海道新聞「冬の高血圧から命を守る ヒートショックや朝の上昇にご用心」(2026年1月14日)(冬の血圧上昇、朝の血圧)
※本コラムは一般的な情報提供を目的としたものです。受診や治療については、医療機関にお問い合わせください。