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「医療ブログ」尿一滴で早期がんを嗅ぎ分ける線虫 

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尿一滴で早期がんを嗅ぎ分ける線虫 
以前のブログでがん探知犬のことを書きましたが、線虫という小さな虫でがんの有無を診断するという記事が新聞に掲載されていたことを思い出しました。

記事は、2015年3月に九州大学の廣津崇亮氏の研究内容が米国オンライン科学誌「PLOS ONE」に掲載され、大きな反響があってのものでした。

「鼻が利く」という言葉がありますが、線虫の持つ嗅覚細胞がとてつもない精度で「がんの存在」を嗅ぎ分けているという大発見です。

実験に用いたのは体長1mmほどの、Caenorhabditis elegansという、ちょっとエレガントな(?)名前の線虫です。普段は土の中に生息し細菌類を食べて生活しており、室温でも飼育可能で、以前から「生物動物」として研究に使われてきたものです。ちなみに、この線虫を生物モデルとして確立した学者らは、ノーベル平和賞を受賞しているとのことです。

廣津氏らの研究グループは、健常者とがん患者の尿を1滴ずつ用い実験を行ったところ、95.8%という高診断率で、線虫ががんを嗅ぎ分けた(がん患者の尿に引き寄せられた)という結果が得られました。しかも、早期がん(ステージ0や1)まで発見できるというから驚きです。従来の腫瘍マーカーを用いた場合の感度が10~20%台であることを考えると、どんなに凄いかが分かっていただけると思います。

このブログでも何回も言っているように、がんは「早期発見、早期治療」がもっとも大切だと思います。そういう意味では線虫によるがん検診が確立すれば、スクリーニングでまずがん疑いの方を選び出し、その人達だけに詳しい検査を行えば良いので、がん検診のあり方を根本から大きく変えることに繋がると考えられます。

尿1滴でよい、95.8%という高感度である、結果が出るまで1時間半と短い、検査価格も数百円程度で安いといい事尽くめのようですが、どこにがんが存在するのか分からないという問題も残されています。これからの課題ですが、それを解決する方法についても研究が進んでいるようです。

また、なぜ線虫ががんの尿に引き寄せられているかという点に関して、餌の匂いと勘違いしているのではないかという廣津氏の見解です。ということは、がん患者の尿にはがん細胞から出てくるある共通の、そして特有の匂いを発するタンパク質が含まれていると考えられます。今後はその方面からのアプローチもありそうですね。

「線虫を用いたがん検診」が普通に行われるのも、そう遠くない将来だと思います。
虫だけに無視できない話題でした。

 

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―この記事を書いた人―

<名前>斉藤 泰博
<資格・経歴>
医療法人 新産健会 副理事長
放射線専門医・内科医


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